
「スマホサポーター制度の現在と未来」
東京都デジタルサービス局 担当者インタビュー

令和4年度にスタートしたTOKYOスマホサポーター制度。スマホサポーターの登録者数も着実に増え、令和7年度で4年目を迎えます。
今回は制度を統括する東京都デジタルサービス局に伺いTOKYOスマホサポーター制度のこれまでの歩みと現在、さらに今後の展望についてご担当者にお話を聞きました。

▲お話を伺ったデジタルサービス推進部の石川さん(左)と松田さん(右)
支援活動の先に見据える地域コミュニティの活性化
―あらためてスマホサポーター制度が生まれた経緯を教えてください
石川さん:高齢者をはじめデジタルに不慣れな方々へのスマートフォン活用支援のため、東京都では令和3年度から「スマホ体験会」と「スマホ相談会」を実施しています。実施する中で、参加された皆さんから「身近にスマホのことを相談ができる相手がいない」という声をたくさんいただきました。そこで、身近な場所でスマホの操作などをサポートできる人材を育成し、地域に根ざした支え合いや交流を促す仕組みとして、令和4年度にTOKYOスマホサポーター制度がスタートしました。
―この制度を作るにあたって参考にしたモデルはありますか?
石川さん:民間の事例や海外の事例などいろいろなものを参考にしました。そのひとつに「Seniors Go Digital(シニアズ・ゴー・デジタル)」というシンガポール政府の取組みがあります。これはシンガポール・デジタル・オフィスが設置しているものですが、デジタル活用をただ社会に広めるだけでなく、支援活動を通じて生まれる、サポートする側とされる側のコミュニケーションを地域コミュニティの活性化に繋げていくというものになっています。TOKYOスマホサポーターホームページのトップページに載せている「日頃からスマホを使い、その便利さを知る方が、デジタルに不慣れな方に寄り添い、困りごとの解決に一緒になって取り組むことで、身近な地域での支え合いに繋げる」というのがTOKYOスマホサポーター制度の基本的な考え方になっていますが、TOKYOスマホサポーター制度が目指すべき姿として、このシンガポールの事例を参考にしています。

▲国内外の様々な事例を参考に制度のコンセプトを検討
―この制度ではサポーターの確保が重要になるわけですが、立ち上げ当初はどれくらいの登録者数を目標にされていましたか?
石川さん:サポーターの募集は令和5年1月に始まったのですが、東京都の様々な地域で活動をしていただくことを想定し、令和5年中に1000人の登録者を目標にしました。
―目標はクリアできましたか?
松田さん:クリアはできましたが、なかなか大変でした。当初はホームページだけの情報発信だったこともあって、思うように認知が広がりませんでした。そこで動画を使ったネット広告などを実施することで、少しずつ広がっていったという感じです。

▲立ち上げから現在までスマホサポーター制度は一歩ずつ着実に成長してきた
―制度として手応えを感じられたのは、いつごろでしたか?
松田さん:初めの頃は様々な準備をしながら運営も行うという状況だったので、すぐに大きな成果を出すことは難しかったです。手応えのようなものを感じたのは令和5年の年末から令和6年の初めくらいでしょうか。
自治体のご協力でスマホ相談会などの活動の場を立ち上げていただき、そこにスマホサポーターさんをアサインするようになってようやく動き始めたという感じでした。そうした事例を他の自治体にも紹介して、スマホサポーターを活用いただくという流れができたあたりからです。

▲動画広告やバナー広告を利用してスマホサポーターを広く募集
―サポーター登録者数は順調に伸びているそうですが、これからも伸ばしていく予定ですか?
石川さん:まだまだ伸ばしていきたいと考えています。東京都には山間部や島しょ部もあるので思っている以上に活動の範囲が広いんです。そうした地域で活動いただける方なども含め、サポーターの数をこれからも増やしていければと思っています。
松田さん:実際にスマホサポーターの方に相談会や体験会でお話を聞くと「サポーターをやってすごくよかった」「とてもやりがいがあるので続けていきたい」というご意見をよくいただいて、私自身もとても良い制度だと感じています。これからもより多くの方にスマホサポーターに登録していただきたいです。

▲東京にはスマホサポーターが必要な場所がまだまだたくさんある
身近な地域のニーズをとらえて新たな活動の場に
―今後にむけての課題や目標のようなものはありますか?
石川さん:サポーター数は順調に伸びてきているため、サポーターの活動の場を広げていく必要があると考えています。これまでは活動の場は自治体の事業中心だったのですが、これをもっと地域の活動にも広げていきたいです。
これまで自治体を中心にお声掛けをしてきましたが、実際には商店会や町会、マンションの自治会など、より身近な地域の団体でもスマホ教室や相談会の実施を検討されていることがわかってきました。今後はこうしたニーズを掘り起こしながら、「スマホ教室を開催したいけど、教えてくれる人材が見つけられずに困っている」という方々にこの制度を認知していただき、活動の場を広げていきたいと思っています。
松田さん:スマホサポーターの数に見合った活動の場を東京都が用意すべきでは?というご意見も聞こえてきますが、身近な地域での支え合い、コミュニティの活性化というのがこの制度の趣旨です。ですから活動の場だけがスマホサポーターの活躍する場面とは考えていません。
「サポートする人」と「サポートを必要とする人」をより良いカタチでつないでいくことが私たちの役割だと考えています。

▲身近な支え合いを通じて地域コミュニティの活性化を促していく
―具体的にはどのようなものでしょう?
松田さん:たとえば、スマホサポーター制度に関心があっても、自分たちの企画内容でサポーターを依頼してもいいのか迷ったという方が過去にいらっしゃいました。そうした方々がより相談しやすい入口をつくる、実際に制度を利用する際にはどういうふうにサポーターを募集したらよいかをまとめたマニュアル的なものを用意する、あるいはこれまでの事例をまとめてご紹介するなど、サポーター制度を利用しやすい環境をつくっていきたいと思っています。
―最近実施された活動にはどのようなものがありますか?
松田さん:今年度もスマホサポーターを対象にした集合型の「ロールプレイング研修」を開催しました。その中で、これまでの対面でのサポートを想定した研修のほか、遠隔地を想定したオンラインによるサポートのロールプレイング研修を行いました。対面との違いやオンラインならではのサポートの仕方をサポーターの方に体験していただきました。当日の参加者は対面でのサポート経験者も多く参加されていましたが、オンラインでは対面と違い確認事項や伝えることも多いです。ですので、通常よりも時間がかかってしまう方など、当初は皆さん苦労されていましたが、数回実施していく中でコツをつかんでいただけたようです。
オンラインサポートを島しょ部や山間部の方への支援に役立てていきたいと考えています。

▲サポーター役と相談者役を交代しながらサポート活動をシミュレーションするロールプレイング研修

▲オンラインサポートでは離れた場所でもサポートが受けられる
みんなで作り上げていくスマホサポーター制度
―最後にこのホームページをご覧の方にメッセージをいただけますか。
石川さん:スマホサポーターになるのは難しいことではありません。基本的な知識は、スマホサポーターホームページのeラーニングで簡単に身につけることができます。
サポーターになってもいきなり相談会等でのサポートに参加をしなくても構いません。まずはご両親やおじいちゃん、おばあちゃんなど、ご家族や身近な人のサポートから始めてみるのも良いと思います。まずは気軽にスマホサポーターにエントリーしていただけるとうれしいです。
松田さん:すでにサポーターとしてご活動いただいている方々には日頃のご協力に感謝を申し上げたいと思います。誰ひとり取り残されないというのが目標ですので、今後もデジタルデバイドの解消に向けてさらに多くの方にご参加・ご協力いただき、都民の皆さんと一緒にこの制度をより良いものにしていきたいと思っています。
事務局の問い合わせ窓口がありますので、ご関心を持たれた方は、制度に対するご意見をお寄せください。
制度のご利用をご検討されている場合は、事務局にご相談いただければいろいろとご案内ができますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

スタートから4年目を迎え、より身近な地域への浸透をめざすTOKYOスマホサポーター制度。今回のインタビューを通じてあらためて感じたのは、この制度は“デジタルデバイド”という今日的な課題を、私たちの社会が育んできた
“支え合い”という知恵で解決していく取組みであるということでした。
「サポートする人」と「サポートを必要とする人」が繋がることで、だれもが豊かに暮らせる社会をつくっていく。TOKYOスマホサポーター制度の広がりとともに東京の未来も明るく広がっていく、そんな印象を持ちました。